太陽光発電のある屋根のメンテナンス
昨今の省エネ意識の高まりから最初から太陽光発電システムを備えた住宅も増えています。しかし、太陽光発電システムも屋根も経年劣化により古くなり、修理や交換・葺き替え工事が必要となります。
そこで、10年後、20年後に想定される太陽光発電のついた屋根のメンテナンスについて考えてみましょう。
太陽光発電パネルを外して塗装
後付けで太陽光発電システムを導入する場合は、パネル設置前に屋根の塗装を行うことが多いでしょう。
その理由は、太陽光発電パネルを設置した状態では、パネルの下のメンテナンスや塗装、補修などができないからです。そのため、パネル設置前あるいはパネルを取り外してから塗装や補修を行います。
太陽光発電パネルを外さずにメンテナンスする場合は、パネル下の苔や埃、汚れを取り除くことができませんし、わずかな箇所しか塗装できなくなってしまいます。
太陽光発電パネルを取り外す場合は、いったん地上に下ろす作業が必要です。その後、部分補修や塗装作業が終わったら、再度パネルを設置します。太陽光発電パネルの移設費用は、20万円以上かかることがあり、平均的な塗装費用にプラスされることを知っておきましょう。
屋根材と太陽光発電パネルの寿命
新築時から存在する太陽光発電システムであっても、必ず寿命があります。これは屋根材でも同じです。
太陽光発電パネルの寿命は、20～30年です。屋根材の寿命は、30年以上、瓦なら50年近く使えますが、塗装が必要な屋根材の場合は、塗料の寿命にも注意しなければなりません。
塗料の寿命は、10～15年程度が一般的です。塗料の寿命は、太陽光発電パネルの寿命よりも短いことがあります。塗料はシリコン系以上のグレードを選び、耐久性を高め、太陽光発電パネルの寿命と合わせることが重要です。
先に塗料の寿命が過ぎてしまった場合は、太陽光発電パネルを取り外さなくてはなりません。余分なコストがかかりますので、塗料は、太陽光発電パネルの寿命よりも長く、耐久性・耐候性の高いグレードの製品を選択するようにしてください。
太陽光発電パネルがあるときの注意点
太陽光発電パネルは、サイズも大きく、慎重に取り扱う必要があり、場所を取ります。取り外した太陽光発電パネルが敷地内で保管できない場合は、トランクルームや倉庫などで一時保管しなければならないでしょう。
また、太陽光発電パネルを取り外すと、10～20年程度あるメーカー保証がなくなってしまいます。屋根の塗装メンテナンスで、塗装業者が脱着時に破損してしまった場合でも、メーカー側に保証を求めることはできません。
屋根の塗装と太陽光発電パネルの脱着は全く別の工事です。両方の保証が有効になる方法を屋根塗装業者や屋根リフォーム業者に確認し、もしものときのリスクに備える準備をした上で工事を依頼するようにしましょう。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。