塗料の種類
塗料の種類について
塗料の種類は想像以上にたくさんあります。
しかし、業界に精通していない一般の方が、各塗料の詳細をよく把握していることはまずありません。
こうした理由から、基本的に業者に全て委ねていただいても構いません。
優秀な業者なら「顧客と建物にとってベストな塗料」を選んでくれます。
問題となるのが、何もかも業者にお任せすると、「業者自身にとってベストな塗料」を選ぶことがあるため、建物や顧客のことを後回しにしてしまうケースです。
そのような業者は塗料に関する説明をきちんとしません。
最新の塗料ではないのに「最新の塗料です」と言いますし、本当は最善の塗料ではないのに「最善の塗料です」と平気で発言します。
「強くすすめてくる割には冷静に考えると言っていることに具体性がない」ということが多いのでご注意ください。
ここからは、外壁塗装に使う塗料についてお話していきます。
顧客側が全て覚える必要はありませんが、ある程度知識があれば悪質な企業に騙されることも少なくなります。
塗料の等級と耐久性能
アクリルなら5~7年、ウレタンなら8~10年、シリコンなら10~15年、フッ素塗料なら15~20年、無機塗料なら20~25年といったところが、等級で見分ける場合の塗料の耐久年数の目安です。
この耐久年数を検討しながら、
・予算
・将来の建て替えの予定
・シリコン塗料 10年~15年
・引っ越しの予定
なども考慮しながら使用塗料を決めてください。
必ずしも「最も耐久性能の高いと言われている無機塗料を使わなければならない」というわけではありません。
次に、それぞれの等級の塗料について個別に解説していきます。
アクリル塗料(5~7年)
・リーズナブル
・透湿性に優れている
「水分が集結しやすい軒裏」「室内塗装(劣化しにくい環境ならアクリルでも長持ち)」などの塗装に向いています。
また、ツヤが出やすい、発色が良い、塗布しやすい、付着性が高いなどの各種メリットがあります。
「水で薄めるだけで塗布可能」という形式のアクリル塗料も少なくなく、そのタイプなら、DIYでも安全に使えます。(ホームセンターなどでも購入可能)
ただし、ヒビ、剥離などが塗装後の早い時期に発生しやすいデメリットがあります。
また、汚れやすいという性質も忘れてはいけません。
さらに、「強力な塗料をアクリル塗料の上に塗布すると、アクリルが溶ける場合がある」という欠点もあります。
以上を考慮しても「アクリル塗料が最善の選択です」という状況は限られています。
業者が「アクリル塗料が一番良いです!」などと妙にすすめてくる時は、必ずその理由を問いただしてください。
ウレタン塗料(8~10年)
鉄材=サビる時期が早く、塗装サイクルが短い
木材=「生きている」ため変形しやすく、塗装サイクルが短い
という性質がそれぞれにあります。
デメリットがあるとはいえ、他の塗料よりも「リーズナブルなウレタン塗料」だからこそ、これらに塗布するのに最適です。
これは「錆びるのが早いものに塗るのだから、安価で劣化しやすい塗料でも良い」という発想です。
また、ウレタン塗料は光沢もキレイで柔らかみもありますので、ヒビも発生しにくいメリットがあります。
ウレタン塗料はほとんどが「2液形式(硬化剤などを混ぜて塗装)」で、厚みが出ることから屋根塗装にも使えます。
ただ、2液形式は専門家でないと取り扱いが難しいので、DIY等でウレタン塗料を用いるなら取り扱いや保管が簡単な「1液形式」のものをおすすめします。
ただし、ウレタン塗料は塗布する際にシンナー臭が出やすいのでご注意ください。
プロの職人は臭い対策を施した上で塗装作業を行いますが、一般の方の中には全く対策せずにウレタン塗料を使っている場合があります。
体調が悪くなる恐れがあるので、必ず十分に換気しながら使用してください。
シリコン塗料(10~15年)
しかし、「本当はシリコン塗料よりも安い塗料で十分なのに、高いシリコン塗料をすすめてくる」というケースにご注意ください。
ちなみに、シリコン塗料の中にも等級が存在します。
耐久面で性能の差を表現すると、
2液弱溶剤シリコン>2液水性シリコン≒1液弱溶剤シリコン>1液水性シリコン
となります。
つまり、「弱溶剤シリコン塗料」のほうが「水性シリコン塗料」よりも耐久性があって長持ちするということです。
見積書に「シリコン塗料」だけが記載されていたとしたら、「等級を教えてください」と言って、必ずその内容を確認してください。
※ラジカル塗料について
ラジカル塗料は、広義ではシリコン塗料に分類されています。
ラジカル塗料は、一般的なシリコン塗料の1.5倍程度の耐久力があるとされており、おすすめする業者も増えてきています。
気になる方は、「シリコン塗料以外に気になっているラジカル塗料ではどうなのでしょうか?」などと聞いてみてください。
シリコン塗料でも、アクリル塗料・ウレタン塗料と比較すると耐久性は間違いなく高いです。
その割に手頃な価格設定の塗料が多いので、コストパフォーマンスがよくなります。
また、汚れが付着しにくいというメリットもあります。
「長持ちするから」と期待してシリコン塗料を選んでも、環境次第では10年程度で次の塗装時期を迎える可能性があります。
これは、先ほどご紹介した「1液水性シリコン塗料」などの耐久性の低いシリコン塗料を選んだ場合によく起こる問題です。
例えば15年以上など、もっと長持ちさせたいなら、「2液弱溶剤シリコン塗料」や「ラジカル塗料」の使用を検討してください。
フッ素塗料(15~20年)
耐久性の高いフッ素塗料は、一般的な環境なら、短くても15年、長ければ20年以上もその性能を保ちます。
高価な施工価格ではありますが、「塗り替え回数が少なくなる」わけですから、長期的なコストパフォーマンスがよくなります。
外壁塗装や建物リフォームの考え方は、「一生涯で払うお金がどの程度なのか?」という視点を持つことが大切です。
外壁塗装工事そのものが、大がかりで億劫なため、頻繁に実施するわけにはいかないからです。
あなた自身が作業をするわけではありませんが、業者選び・申し込み・完了するまでの多くの手続きや精神的なストレスの発生……などなど無視できない要素は色々あります。
フッ素塗料に戻りますが、
「秀でた耐久性能」「カビや藻が出にくい」「高い耐候性」「摩擦に強い」「熱への高い抵抗力」「水との相性がいい(水に強い)」などの多くのメリットがあります。
これらのメリットは、フッ素塗料が「等級の高い塗料」と呼ばれる所以です。
外壁塗装に詳しい方の中には、
「でも、フッ素塗料って『ヒビが入りやすい』『施工価格が高過ぎる』『ツヤ有のフッ素塗料しかない』『次回もフッ素塗料に限定される』とかの弱点があるんじゃない?」
と考える人も多いようです。
しかし、フッ素塗料も年々改良が進んでおり、デメリットは解消されつつあります。
「フッ素との密着性に優れた下塗り剤に使用しなければならない」という弱点は残ったままですのでご注意ください。
ただ、それもDIYでフッ素塗料を使う時の注意点であり、依頼者側がプロに依頼するならそこまで考える必要はありません。
業者に外壁塗装を依頼する場合は、あえて何も言わなくても塗装業者が調整しています。
無機塗料(20~25年)
これまでご紹介してきたアクリル塗料・ウレタン塗料・シリコン塗料・フッ素塗料は「有機塗料」です。
有機塗料は、塗料の大部分が有機物で構成されており、雨やUVの影響で徐々に劣化していきます。
一方、文字通り「無機物」で構成されている「無機塗料」は理論上は劣化しません。
「でも、20~25年くらいで劣化する時期が来るんじゃないの?」
と考える方もいらっしゃいますが、 実際、そのとおりです。
なぜなら、「無機塗料」にも有機物が含まれているからです。
そうでないと「塗料」に仕上げることができないからです。
ちなみに、「無機物と有機物が組み合わせている」という意味で「ハイブリッド塗料」と呼ばれることがあります。
今後、「有機物の比率が非常に低い無機塗料」「有機物を使わない無機塗料」等が発明されれば、塗り替え時期をさらに延ばすことができ長持ちします。
無機塗料は他にも「耐候性に優れている」「藻に強い」「カビに強い」「汚れが付着しにくい」「燃えにくい」などの多くのメリットを持っています。
有機塗料に比べてエコロジーですが、多くの機能や高い耐久性能を持つため、施工単価は高めです。
有機塗料と比較すると、ヒビが発生しやすいといったデメリットはあります。
まとめ
外壁塗装工事の相談や依頼を業者に行うと、現場調査などを行った後に必ず見積書が提示されます。
最初に「塗料の名称」や「塗料メーカー名」を確認し、インターネット等で調べてみましょう。
その結果、「使用する塗料の割には施工価格が高すぎる」と判断した場合は、その業者は検討対象から外してもいいでしょう。
また、相見積もりといって、数件の企業に見積書を提示してもらい、一番良さそうな企業を最後に選ぶ方法をおすすめします。
それから、「塗料に関する詳細が見積書に記載されていない」なら、その企業は避けてください。
その他、塗料についての疑問点は必ず業者に確認してください。
優良業者なら、回答もきちんとしています。
逆に「きちんと相談に応じてくれない」「特定の塗料を強くすすめるが詳細な説明がない」という業者はキャンセルしてください。