屋根工事、重ね葺きのメリット、デメリット
屋根工事でも屋根の葺き替えは大型のリフォーム工事です。
屋根工事では、全面的に屋根を交換する「葺き替え」の他にも「重ね葺き(カバー工法)」といった施工法があります。どちらにもメリットやデメリットがあります。
今回は、重ね葺きを選択する場合の葺き替えとの違いやメリット、デメリットについて整理していきましょう。
屋根の重ね葺き(カバー工法)のメリット・デメリット
屋根にも寿命がありますが、塗料の寿命よりも長く、塗り替えが必要な屋根であっても、2~3回目になって初めて塗り替えか葺き替えかを検討する時期になります。
確かに屋根の耐久年数は、建物の部材の中でも最も長い部類になりますが、いつかは古くなって使えなくなります。そのような場合でも、屋根の葺き替えや重ね葺き(カバー工法)などのメンテナンスを実施しなければならないでしょう。
重ね葺き(カバー工法)は、既存の屋根をそのまま残して、新しい屋根材を被せて施工する方法です。新しい屋根材には、軽量のガルバリウム鋼板などの耐久性の高い屋根材を使用します。
重ね葺き(カバー工法)を選ぶメリットは、古い屋根を撤去しないため、廃材が発生せず、その処分費用もほぼかからないという点です。費用が節約でき、工期も短縮できます。
新しく選ぶ屋根は、軽量の金属屋根材などに制限されますが、金属屋根であっても二重屋根で断熱性や遮音性が上がります。
デメリットは、屋根の重量が重くなることや、屋根の選択などにも制限が出てしまうことです。
瓦屋根には施工できませんし、大型の太陽光パネルの設置も難しくなるでしょう。雨漏りがしていたり、下地材が腐食したりしている場合は、屋根材の劣化症状がひどいので、重ね葺き(カバー工法)ではなく、屋根を葺き替えたほうがいい場合もあります。
重ね葺き(カバー工法)は、屋根の状態により施工できない場合もありますが、予算が限られている場合や屋根の劣化症状がそれほどひどくない場合には、検討の余地があります。
葺き替え工事との異なる点とは?
屋根の葺き替え工事は、既存の屋根を解体撤去した後に、全て新しい屋根材に葺き替えます。
屋根材の解体撤去後は、野地板や防水シートなども全て新しくなり、屋根部分は、新築時と同じような状態になります。
下地の腐食や屋根からの雨漏り状態がひどい場合は、間違いなく屋根の葺き替え工事をおすすめします。
重ね葺き(カバー工法)は、古い屋根をそのまま残しています。その上に防水シートを張り、新しい屋根材を施工します。
二重屋根になってしまいますが、断熱性や遮音性は逆に向上します。屋根の重量が増すので、耐震性の問題から軽量の屋根材しか選択できないという制限があります。
重ね葺き(カバー工法)を選ぶ時のポイント
屋根の交換方法では、葺き替え工事と重ね葺き(カバー工法)工事のどちらを選ぶべきかで迷うことがあります。
必ずしも予算の問題だけではなく、この先何年今の住居に住み続けるのかがポイントになります。
ご家族のライフプランや建物の躯体の寿命、住み替えなども検討しながら、屋根の葺き替え工事の方法を選択しなければならないでしょう。
瓦屋根なら、葺き替えの他にも葺き直しというメンテナンス方法もあります。
新しい屋根にすべきか、予算や建物の寿命の問題から、重ね葺き(カバー工法)がいいか、など、総合的に考えてどちらを選ぶべきかを決定するようにしてください。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。