塗料の1液型と2液型とは
塗料の種類は、シリコンやフッ素、無機などの合成樹脂による分類が普通ですが、他にも「1液型」と「2液型」といった分け方をすることがあります。
どの種類の塗料にも「1液型」と「2液型」は存在します。また、油性塗料や水性塗料であっても同様に分けることができます。塗料の「1液型」と「2液型」はどうして分けられているのでしょうか?
塗料の主材と硬化剤
塗料の「1液型」と「2液型」の分類で、最大の違いといえば、1つの塗料缶で使うか、2つの塗料缶で使うかの違いになります。「1液型」は、塗料缶が1つだけです。一つの塗料缶を使い、塗装時は、水やシンナーで薄めて使用します。
「2液型」の場合は、塗料缶が2つに分かれています。一つめが主材で二つめが硬化剤です。「2液型」は、塗装直前に主材と硬化剤をよく混ぜて塗料として使用します。さらに水やシンナーで薄めて使用しますので、作業する前にやるべきことが増えてしまいます。
使用のタイミングが難しい「2液型」
「2液型」は、あらゆる箇所に塗装できる点が大きなメリットです。特に金属部分は、「2液型」でしか塗装できないので、「1液型」を使用する場合は、「2液型」の塗料と併用することになるでしょう。
使用箇所を選ばない万能な塗料ですが、全て「2液型」の塗料で塗装すると、塗装料金が高額になってしまいます。もともと塗料には「2液型」しかなかったので、塗装直前に主材と硬化剤を混ぜるのが普通でした。
デメリットは、使用時から少しずつ硬化が進み、硬くなって使えなくなってしまうことです。そのため「2液型」は、作り置きができません。
「2液型」は、あらかじめ使う量だけを開封して使用します。耐久性は「2液型」のほうが高く、寿命も3年ほど長くなります。耐久性に比例して価格が上がるので、値段は「2液型」のほうが高くなっています。
作業の手間を省く「1液型」
「1液型」の塗料は、作業のしやすさを改善するために、1つの塗料缶で塗装が始められるようにした塗料です。「1液型」の塗料にも硬化剤が含まれていますが、適量が含まれており少しずつ硬化していきます。
最初から適切な割合で混合された主材と硬化剤が含まれていますが、保存期間は、「1液型」のほうが短くなっています。保管中に少しずつ硬化が始まっていますので、「1液型」は「2液型」よりも耐用年数が3年ほど短くなってしまいます。
また、「2液型」は耐久性が高いだけではなく、どのような場所にも塗装可能です。特に金属部の塗装では、大きな差が生まれます。「2液型」のほうが塗料の密着度が高いので、鉄部などの金属部を塗るときには、「2液型」の塗料が選ばれます。
「1液型」のほうが耐久性が低いので、料金が低く設定されており、余った塗料は次の日に持ち越して使用できます。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。