放置できない瓦屋根漆喰の劣化症状
和風建築、日本家屋では、重厚で高級感のある瓦を使用した屋根が主流です。
瓦とセットで使われている材料といえば、「漆喰」です。土を主体とした漆喰ですが、漆喰も次第に劣化していきます。漆喰は、瓦屋根よりも耐久年数が短いので、瓦が長寿命でも漆喰はメンテナンスを行う必要があります。
漆喰の劣化症状を発見したら、屋根裏や下地材に雨水が浸入している可能性が高いので、放置しないですぐに点検や何らかの対処を施します。
棟部分の漆喰に注目
漆喰は、屋根瓦や棟をつなぎ、しっかりと固定するために必要な建築材料です。特に屋根の最上部にある棟部分は、数段の板状の「熨斗瓦」が積まれています。
「熨斗瓦」は、重なり合った瓦の間に積まれ、少しずつずらすことで排水機能を持たせています。内側には葺き土、「熨斗瓦」の下部分で葺き土を固定しているのが、漆喰です。
漆喰は、「熨斗瓦」と瓦を固定する重要な役割があります。雨が降った時でも、漆喰が葺き土を守り、葺き土が外に流れ出ないようになっています。
漆喰が存在するおかげで、内側へ浸入しようとする雨水や巻き込み水の浸入をシャットアウトできています。
漆喰が劣化すると瓦が崩れやすくなる
漆喰が劣化すると、雨水が葺き土にまで浸入し、時間が経つと外側へと流れ出ていってしまいます。葺き土がなくなっていくと、積まれた瓦がズレたり、崩れたりして瓦の補修や雨水の浸入による雨漏り被害が発生しやすくなってしまいます。
漆喰は防水目的というよりも瓦を固定する目的で使用しています。防水性は低めですが、雨水の浸入と葺き土の流出を防ぎ、瓦屋根を美しく見せるために漆喰が利用されています。
実際には、瓦を固定しているのは漆喰だけではありません。釘や針金も使われています。
漆喰の経年劣化
漆喰は、施工後から少しずつ硬くなっていきます。漆喰が機能している間は、調湿機能が働いています。調湿機能とは、水分を吸収し、放出する機能のことです。
経年劣化により、漆喰が硬くなると隙間が生じたり、地震や建物の揺れにより、漆喰の割れや崩れなどの劣化現象が見られるようになります。
漆喰が崩れ、葺き土が流出すると、棟の排水機能が損なわれ、雨水が建物内部に浸入しやすくなってしまいます。漆喰の経年劣化による補修では、棟部分の補修や瓦の交換修理なども同時に行います。
下地材の防水シートなどの不具合も考えられますので、部分補修だけでは根本的な問題解決にならないことがあるからです。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。