塗装が必要な瓦の見分け方
一般的に、瓦屋根には塗装が必要ないと言われています。塗装が必要な屋根といえば、スレートや金属屋根です。ところが、同じように見える瓦にも塗装しなければならない種類の瓦も存在します。
今回は、塗装が必要な瓦についての注意点や見分け方について解説していきます。
瓦の種類について
同じように見える瓦にもいくつかの種類があります。塗装が不要な瓦といえば、粘土を原材料として焼いた陶器製の和瓦(粘土瓦)は塗装をする必要がありません。
しかし、粘土瓦以外の瓦、例えば、セメント瓦、モニエル瓦などは、形は瓦に似ていますが、粘土瓦ではないので、塗装が必要とされています。
セメント瓦(モニエル瓦)
セメント瓦もモニエル瓦もセメントが主材料です。
セメント瓦は、モルタルと同じような素材を使用した瓦ですが、デメリットは防水性が弱いという点です。セメント瓦の弱い防水性を補うために、塗装が必要不可欠です。
そして、塗膜の防水性や耐久性が落ちてきた頃や耐久年数を過ぎる頃には、必ず防水性能の高い新しい塗料を使って塗装メンテナンスを行う必要があります。
防水性が落ちると、瓦の内部にまで水が染み込み、カルシウム成分が流れ出し、強度が落ちてボロボロになってしまいます。劣化スピードが早まり、瓦の欠けや割れの症状が屋根の上のいろいろなところで見られるようになります。
メンテナンスを怠ると、屋根の葺き替え工事で大規模な補修と高額な費用がかかりますので、セメント瓦やモニエル瓦の塗装メンテナンスは忘れずに行うようにしましょう。
お住まいの瓦の見分け方
瓦の形は、粘土瓦でもセメント瓦でも同じように見えますので、瓦だけを見ても瓦の素材が何であるのかを見分けることができない場合があります。
粘土瓦は、全て窯で焼く工程があり、仕上り後の断面や角が丸みを帯びています。
一方のセメント瓦・モニエル瓦は、断面や角が角ばっている点に特徴があります。粘土瓦よりも大型で、表面にはさまざまな意匠性の高いデザインが施されており、ゴツゴツした表面になっています。
また、モニエル瓦の場合は、セメントの上にスラリー層と呼ばれる粘土の層があり、塗装前にはザラザラになったスラリー層をしっかりと剥がす特殊な下地処理が必要です。
セメント瓦とモニエル瓦とでは、下地処理が全く異なりますので、必ず専門家による工事前の現地での屋根の点検を受け、専門家の適切な判断による補修や塗装メンテナンスを依頼するようにしましょう。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。