屋上陸屋根には塩ビシート防水
雨漏り被害や浸水被害を防ぐため、屋上や陸屋根には防水工事が必ず施されています。今回は、塩化ビニルシートを貼り付けて施工する、塩ビシート防水工法についてご紹介します。
シート防水の仲間
塩ビシート防水は、シート防水の仲間です。シート防水とは、シート状の防水材を貼り付けて施工する工法です。シートの素材には、ゴムシートや塩化ビニルシートなどが使われています。
マンションやビルの屋上や陸屋根には、シート防水が有効です。シート防水は、単価と耐用年数のバランスがよく、施工単価の目安は、1平米あたり4000~8000円、耐用年数は10~15年です。
シート状の防水材は、広い面積に貼り付けることができますので、施工時間を短縮することができます。
塩ビシート防水のメリット・デメリット
塩ビシートを貼り付けて施工するため、下地を選ばずに、いろいろな場所に施工できます。機械固定工法により施工すると、下地材の間の通気性が確保され、湿気を外に逃がすことができます。
耐久性は10~15年で、ウレタン防水(8~10年)やFRP防水(10~12年)を上回っています。コストパフォーマンスから考えると、塩ビシート防水のほうがより優れているということがわかります。
塩ビシート防水の施工期間は、2~4日です。最も短い防水工法はFRP防水の1~2日です。その他の防水工法を選ぶと一週間~10日ほどかかります。塗装は乾燥時間が必要です。シートを貼り付けるほうが簡単で、広い面積でも施工しやすいので、工期に大きな差が出ます。
逆に塩ビシート防水のデメリットについても見ていきましょう。防水材がシート状になっているので、複雑な形状や凹凸の多い下地には施工ができない場合があります。
塩ビシートを固定する機械固定工法の場合は、ドリルを使って金具を固定しますので、金属音や振動音がします。どのような工法で施工すればいいのかは、施工業者としっかりと打ち合わせを行い、工事前の事前挨拶を欠かさず、近隣トラブルやクレームを避けるようにしておきましょう。
塩ビシート防水の密着工法と機械固定工法
塩ビシート防水には、2つの防水工法があります。密着工法は、接着剤で塩ビシートを接着する施工法です。接着剤は十分に時間を取って乾燥させる必要があります。
通気性はありませんが、雨漏りなどの発生がなく安定した下地材を使用している場合は、密着工法でも問題ないでしょう。
機械固定工法は、通気性を確保するため、固定ディスクや金具を使って下地材と塩ビシートを密着させずに施工する方法です。下地の亀裂や振動により塩ビシートが破損する可能性が少なくなります。施工価格は密着工法よりも高額になります。
シート防水に使う素材には、塩ビシートとゴムシートがありますが、耐用年数は塩ビシートのほうが長く、シートの厚さも厚めです。ゴムシートは薄いので、傷みやすく、鳥などがついばむと穴が開きやすく数年で防水性が損なわれることがあります。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。