外壁塗装の塗料選びに役立つ知識
外壁塗装は、塗り替えにより外観を美しく保つ目的だけで行われるのではありません。日々移り変わる厳しい自然環境から外壁を保護する役割もあります。
そして、外壁塗装の塗料は色だけで選ぶわけではありません。塗装の目的や求める機能性などを基に正しい選び方を知る必要があるでしょう。
塗料の種類やグレードを知る
外壁塗装の塗料の種類は、4~5種類のグレードに分類され、グレードが高いほど性能がよく、寿命が長くなります。それに比例して価格もアップします。耐久性は耐候性の高さにもリンクしています。
アクリル樹脂塗料は、現在は使われなくなっていますが、最も低いグレードに位置します。現在の主流は、シリコン塗料ですが、価格帯が同じでシリコンよりも性能がよく、新しく登場したラジカル塗料なども注目されています。
基本的な塗料の分類によるグレードの順番は、
ウレタン(7~10年)、シリコン(10~15年)、フッ素(15~20年)、無機(20~25年)です。
いずれも外壁用塗料の耐用年数ですが、屋根用になると耐用年数が全体的に短くなります。
目的でグレードを選ぶ
塗料の大まかなグレードの分類がわかったら、目的別にどう選ぶかについて検討してみましょう。コストパフォーマンスを重視し、予算が限られている場合は、シリコン塗料がおすすめです。
塗り替えやメンテナンスの時期を合わせるなら耐久年数10年程度の塗料を選ぶべきでしょう。高級感のある建物、修繕や再塗装が難しいと考えられる建物には、耐久性や耐候性の高いフッ素や無機塗料を選びます。
フッ素塗料や無機塗料は、耐用年数が長く、長期間美観を保つので、トータルコストが下がり、メンテナンスを頻繁に行う必要はありません。初期費用は高額ですが、塗装後は手をかける必要がないので、長期的にみれば安心感もお得感も両方得られるでしょう。
デザイン性や意匠性の高い塗料
合成樹脂塗料は、いろいろな色合いや艶の具合などもある程度自由に選べます。それ以外にも透明な色でデザインをよく見せるために、クリアー塗装などが行われることがあります。
美しいデザインをそのまま残すために、意匠性の高いサイディング外壁にはクリアー塗装を実施します。
他にも、模様や柄が入った多彩柄塗料、砂状や独特の風合いなどで仕上げる砂壁状意匠系塗料、高級感のある石材調などが人気のセラミック塗料などがあります。
各種機能性で選ぶ塗料
合成樹脂塗料の基本グレードに各種機能性を付加するとお住まいの環境を快適にすることができます。例えば、遮熱塗料・断熱塗料です。建物内の温度上昇を防ぐ目的です。
モルタルやコンクリート外壁などのクラックが多い外壁材には、追従性の高い弾性塗料を選びます。
他にも光触媒塗料、低汚染性塗料、防カビ・防藻塗料、透湿性の高い塗料などがあり、塗料メーカーでも一つの塗料銘柄の中に各種機能を持たせた塗料を用意しており、求める機能だけを持つ塗料を選べるようになっています。
一級塗装技能士、建築士、雨漏り診断士など建築に関する資格を多数取得しています。
建築塗装に30年携わっており、その経験に基づいた情報提供をおこなっています。